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介護シフト作成をAIで自動化する方法|月20時間の作業を数時間に圧縮する

2026-07-07よりどころべーす編集部
介護シフト作成人員配置AI活用業務効率化

介護現場のシフト作成は、多くの事業所で「一番負担が大きいのに、誰も感謝されない業務」になっています。夜勤・早番・遅番の配置基準を守りながら、スタッフ一人ひとりの希望・資格・連続勤務の上限まで考慮する——この組み合わせ最適化を手作業で解くのは、そもそも人間の能力を超えた作業です。

先に、要点をまとめます。

  • 介護のシフト作成は「配置基準」「資格要件」「個人希望」「公平性」という複数条件を同時に満たす組み合わせ最適化問題であり、手作業では膨大な時間がかかる
  • AIによるシフト自動作成は、条件を数式化してアルゴリズムで解く仕組みで、月20時間かかっていた作業が数時間に圧縮された事例もある
  • シフトの自動化は人員配置の効率化だけでなく、公平性の担保による離職率低下、急な欠勤時の再調整の迅速化にもつながる

介護のシフト作成が特に難しいのはなぜ?

介護報酬の人員配置基準・資格要件・個人の希望休を同時に満たす必要があり、パターン数が膨大になるためです。

介護施設のシフトは、他業種の勤務表とは根本的に難易度が異なります。人員配置基準(介護保険法上、夜勤帯に最低何人配置するか等)を満たしながら、介護福祉士・実務者研修修了者など資格保有者を各シフトに一定数配置し、さらにスタッフの有休希望・連続勤務の上限(労働基準法上の制約)・前月の勤務実績とのバランスまで考慮する必要があります。

こうした複数の制約条件を同時に満たす組み合わせを、スタッフ20〜30人規模の事業所で手作業で探すと、月に十数時間から20時間程度かかることも珍しくありません。しかも、誰か一人が急に休むと、シフト全体を作り直す必要が出てきます。担当者が「シフト表とにらめっこして休日出勤する」状況が常態化している事業所も少なくありません。

さらに、人手不足が慢性化している事業所ほど、シフト作成の負担は重くなります。ぎりぎりの人員で配置基準を満たそうとすると、調整の自由度が下がり、特定のスタッフに負担が偏りやすくなるためです。この負担の偏りが不満や離職につながり、さらに人手不足が進むという悪循環に陥っている事業所も少なくありません。シフト作成は単なる事務作業ではなく、事業所の人員定着そのものに直結する業務だといえます。

AIのシフト自動作成は何が違うのか?

「組み合わせ最適化」というアルゴリズムを使い、配置基準・希望・公平性の条件を数式として扱うことで、人間では現実的な時間で探索できないパターンの中から最適解を短時間で導き出します。

AIによるシフト自動作成の仕組みは、スタッフの資格・希望勤務日・過去の勤務実績・配置基準といった条件を数値データとして入力し、「制約を満たしたうえで、スタッフ間の負担が最も公平になる組み合わせ」を算出するというものです。人間が経験と勘で探していたパターンを、コンピュータが総当たりに近い形で評価し、最適な組み合わせを提示します。

実際の導入事例では、ある特別養護老人ホームで月に約20時間かかっていたシフト作成業務が、自動化によって約2時間にまで短縮されたという報告もあります。単純な時短だけでなく、「休日数」「夜勤数」「連続勤務日数」といった負担の指標をAIが均等化するため、特定のスタッフに夜勤が偏るといった不公平感が減り、離職率の低下につながったという声も出ています。

介護記録・申し送りのAI活用については介護施設の記録・申し送り業務をAIで効率化する方法で解説していますが、記録データが蓄積されるほど、シフト作成AIが「スタッフごとの得意なケア内容」まで加味した配置提案をできるようになる点も見逃せません。

導入までの流れと必要な準備は?

現状のシフト作成ルールの言語化から始め、テスト運用を経て本格運用まで、標準的には1.5〜3ヶ月程度で移行できます。

シフト自動作成の導入は、次のような流れで進めるのが現実的です。

  • 現状ルールの棚卸し(2〜3週間): 「誰が」「どんな基準で」シフトを組んでいるかを言語化します。ベテラン担当者の頭の中にしかない暗黙のルール(特定のスタッフ同士は同じシフトを避ける等)も、この段階で洗い出しておくことが重要です。
  • 希望収集・資格情報の整備(2週間): スタッフの希望休・資格・勤務可能時間帯などのマスタデータを整備します。紙やLINEでバラバラに集めていた希望を、フォームで一元的に集約する仕組みに変えることが多いです。
  • アルゴリズムのパラメータ調整とテスト運用(3〜4週間): 実際に過去1〜2ヶ月分のデータでシフトを試作し、現場の感覚とズレがないかを検証・調整します。
  • 本格運用・例外対応フローの整備(2週間): 急な欠勤・体調不良時の再調整フローを決め、本運用に移行します。

準備の中で最も時間がかかるのは、暗黙知になっている配置ルールの言語化です。ここを丁寧に行うほど、AIが出す提案の精度と現場の納得感が高まります。

費用はどのくらいかかる?既製ソフトとの違いは?

既製のシフト自動作成ソフトは月額利用で導入できますが、事業所独自の配置ルールや記録・請求システムとの連携まで求める場合はカスタム開発が選択肢になります。

方式初期費用の目安特徴
既製のシフト自動作成ソフト(SaaS)月額数万円〜導入が早く低コストだが、事業所特有の細かいルールへの対応には限界がある
既製ソフト+個別カスタマイズ導入時に別途カスタム費用標準機能に独自ルールを追加できるが、対応範囲はベンダー次第
カスタム開発(フルスクラッチ寄り)初期298万円〜(よりどころべーすの場合)訪問・支援記録やAI申し送りbot、請求管理と一体で構築でき、事業所独自の配置ルールも組み込める

複数事業所・複数拠点を運営している法人の場合、拠点ごとに異なる配置基準やスタッフの兼務ルールが絡むため、既製ソフトの標準機能だけでは対応しきれないことがあります。その場合は、記録・シフト・請求を一体で設計するカスタム開発のほうが、長期的な運用負担は小さくなります。

また、訪問介護と施設サービスを併設している法人では、訪問スタッフと施設スタッフの兼務調整が加わり、既製ソフトの想定を超えたルールが必要になることがあります。こうしたケースでは、自社の事業形態に合わせてゼロから設計できるカスタム開発のほうが、結果的に運用の手戻りが少なく済みます。

導入すると現場はどう変わるのか?ある事業所のケースで考える

シフト作成、AI導入前後の比較図。手作業では月20時間前後かかっていた作成が、AIの組み合わせ最適化により数時間に圧縮され、急な欠勤時の再調整も迅速になることを示す図解シフト作成、AI導入前後の比較図。手作業では月20時間前後かかっていた作成が、AIの組み合わせ最適化により数時間に圧縮され、急な欠勤時の再調整も迅速になることを示す図解

シフト作成AIの効果は、作成時間の短縮だけでなく、急な欠勤時の再調整のしやすさや、スタッフの納得感の向上という形で現れます。

スタッフ25名規模のある特別養護老人ホームを例に考えてみます。導入前は、シフト担当の主任がExcelとにらめっこしながら、毎月末に十数時間をかけてシフトを組んでいました。夜勤の偏りを避けようとすると希望休の調整がつかず、逆に希望休を優先すると夜勤ができる資格者が特定の週に集中してしまう——というジレンマを、経験と勘だけで解いていました。

シフト自動作成AIを導入した後、まず変わったのはシフト作成そのものにかかる時間です。希望休・資格情報・配置基準をシステムに入力しておけば、AIが条件を満たす組み合わせを数分で提示するようになり、主任の作業は「提示された案を確認し、細かい調整を加える」ことに変わりました。月十数時間かかっていた作業が、確認作業を含めても数時間程度に圧縮されたといいます。

さらに大きかったのは、急な欠勤が出た際の対応です。従来は誰か一人が休むと、代わりに誰に入ってもらうかを一から考え直す必要がありましたが、AIが条件を満たす代替候補を即座に提示してくれるため、再調整にかかる時間が大幅に短縮されました。夜勤回数や連続勤務日数がシステム上で可視化されるようになったことで、「なぜ自分ばかり夜勤が多いのか」という不満も減り、スタッフからの納得感が高まったという声もありました。

このように、シフト自動作成は「作成の手間を減らす」という一次的な効果にとどまらず、公平性の担保や緊急時対応力の向上という形で、スタッフの定着にも波及していきます。

導入でよくある失敗パターンとは?

「ルールを整理せずにシステムだけ導入する」ことが、最も多い失敗の原因です。

シフト自動作成の導入でつまずくケースには、共通するパターンがあります。

  • 暗黙のルールを言語化しないまま導入する: ベテラン担当者の頭の中にしかないルールを整理せずに導入すると、AIの提案が現場感覚とズレ、結局手直しが増えて「使われなくなる」結果になります。
  • スタッフの希望収集の仕組みを変えないまま導入する: 紙やLINEでバラバラに集めていた希望収集を放置すると、AIに入力するデータの精度が低いままになり、期待する効果が出ません。
  • 例外対応のフローを決めずに本運用に入る: 急な欠勤や体調不良時にどう再調整するかを事前に決めておかないと、いざという時に現場が混乱します。
  • 公平性の基準を現場と合意しないまま自動化する: 「公平」の定義は事業所によって異なります(夜勤回数重視か、連続勤務重視か等)。この基準をすり合わせずに導入すると、「AIが決めたシフトは不公平だ」という不満につながることがあります。

これらは、導入前の準備段階で現場責任者・スタッフ代表を巻き込み、ルールと基準を丁寧にすり合わせることで多くが回避できます。

まとめ|シフト作成の自動化は、記録・請求のデジタル化とセットで効果が出る

シフト作成AIは単体でも大きな時短効果がありますが、真価を発揮するのは訪問・支援記録やAI申し送り、請求管理と一体で運用したときです。介護DXとは?現場を変えるデジタル化の全体像で紹介した段階的なデジタル化ステップの中でも、シフト作成は現場の負担軽減を最も実感しやすい領域のひとつです。

よりどころべーすでは、介護・福祉事業所向けにシフト自動作成から記録管理・請求までを一体で構築するカスタム開発を行っています。詳しくは介護・福祉向けAI業務システムの詳細をご覧ください。

よくある質問

Q. 小規模な事業所でもシフト自動作成の効果はありますか?

A. スタッフ数が少なくても、配置基準・資格要件・個人の希望を同時に満たす組み合わせを探す手間は変わらないため、効果を実感しやすい領域です。まずは月次のシフト作成にかかる時間を計測し、削減効果を見積もるところから始めるとよいでしょう。

Q. AIが作ったシフトをそのまま使う必要がありますか?

A. AIの提案はあくまでたたき台です。現場の細かい事情(体調不良の申告があったスタッフへの配慮等)を踏まえて、最終的には人が確認・調整する運用が一般的です。手直しの手間自体が、ゼロから手作業で組むよりも大幅に少なくなります。

Q. 複数の事業所を運営していますが、拠点ごとに別々に導入する必要がありますか?

A. 拠点ごとに配置基準やスタッフの兼務ルールが異なる場合でも、システムを一体で設計すれば、法人全体のスタッフ配置を横断的に最適化できます。個別導入よりも、まとめて設計したほうが運用コストを抑えられるケースが多くあります。

Q. 導入にあたって最も時間がかかる工程は何ですか?

A. 現状のシフト作成ルールの言語化です。ベテラン担当者の暗黙知を洗い出す作業に最も時間がかかりますが、ここを丁寧に行うほどAIの提案精度と現場の納得感が高まります。

介護記録・申し送りのデジタル化とあわせて検討している場合は、介護の処遇改善加算とLIFE|記録・帳票のデジタル化で加算と賃上げを両立するもあわせてご覧ください。ご相談はお問い合わせフォームから承っています。

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