管理受託契約書はオーナーごとの紙ファイルに、重要事項説明書の控えは営業担当のフォルダに、家賃の預り金は会計ソフトに、苦情の記録は入居者対応のメモに。賃貸住宅管理業法が求める記録は、多くの管理会社で業務ごとに別々の場所に残っています。立入検査で「この委託者の契約年月日と報酬額を帳簿で見せてください」と言われたとき、すぐに1枚で出せる会社は多くありません。
賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)は2021年6月に施行され、管理戸数200戸以上の管理会社に国土交通大臣の登録を義務付けました。国土交通省が2026年6月に公表した令和7年度の全国立入検査では、検査した168社のうち118社に是正指導が行われ、指導が多かったのは契約締結時の書面、重要事項説明、帳簿の備付けでした。
先に、要点をまとめます。
- 登録を受けた管理会社は、委託者ごとの管理受託契約について契約年月日・報酬額など6項目を帳簿に記載し、事業年度末で閉鎖してから5年間保存する(法18条、施行規則38条)
- 立入検査で指導が多いのは、契約締結時の書面の記載不備(62件)、重要事項説明の不備・未実施(43件)、帳簿の不備(32件)。いずれも「委託者ごとの契約」の記録が揃っていないことで起きる
- 委託者マスタと管理受託契約を分け、契約ごとに重要事項説明・締結時書面・帳簿の項目・定期報告の履歴をひもづけておくと、帳簿は契約データから作れる
この記事は、賃貸住宅管理業の登録を受けている管理会社で、業務管理者や管理部門の責任者として法令対応の記録を担っている方に向けて、何を、どの単位で残すかを整理します。条文の当てはめや個別の契約の扱いは、国土交通省の「解釈・運用の考え方」や所属団体の資料で確認してください(確認日: 2026年10月13日)。
賃貸住宅管理業法は、管理会社にどんな記録を求めているのか?
委託者ごとの管理受託契約について、契約前の重要事項説明、契約締結時の書面、帳簿への記載、家賃等の分別管理、委託者への定期報告を、それぞれ定められた項目と期間で残すことです。
法2条2項は、賃貸人から委託を受けて行う賃貸住宅の維持保全(点検・清掃・修繕など)と、それと併せて行う家賃・敷金・共益費などの金銭の管理を「管理業務」と定め、これを行う事業を賃貸住宅管理業としています。管理戸数が200戸以上の場合は国土交通大臣の登録が必要で(法3条1項、施行規則3条)、登録は5年ごとの更新制です(法3条2項)。更新の申請は、有効期間の満了日の90日前から30日前までに行います(施行規則4条)(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 e-Gov法令検索、同法施行規則 e-Gov法令検索)。
登録を受けた管理会社が業務の中で残す主な記録は、次のとおりです。
| 記録・書面 | 根拠 | 残すときの要点 |
|---|---|---|
| 重要事項説明書(契約締結前) | 法13条 | 契約を結ぶまでに書面を交付して説明する。電磁的方法は賃貸人の承諾が必要 |
| 管理受託契約の締結時の書面 | 法14条 | 対象の賃貸住宅、管理業務の実施方法、契約期間、報酬、更新・解除の定めなど |
| 業務管理者の選任 | 法12条 | 営業所・事務所ごとに1人以上。他の営業所との兼任はできない |
| 家賃等の分別管理 | 法16条、規則36条 | 自己の固有財産の口座と区分し、どの契約の金銭かを帳簿で直ちに判別できる状態にする |
| 帳簿 | 法18条、規則38条 | 委託者名、契約年月日、対象の賃貸住宅、受託した管理業務の内容、報酬の額、特約その他。事業年度末で閉鎖し5年間保存 |
| 委託者への定期報告 | 法20条、規則40条 | 契約日から1年を超えない期間ごと、および契約期間の満了後遅滞なく、管理業務報告書を交付して説明 |
このほか、従業者に従業者証明書を携帯させること(法17条)、営業所ごとに標識を掲げること(法19条)、業務上知り得た秘密を守ること(法21条)も定められています。業務管理者がすべて欠けた営業所では、新たに選任するまで管理受託契約を結べません(法12条2項)。
立入検査では、どこを指摘されているのか?
令和7年度の全国立入検査では、契約締結時の書面の記載不備が62件と最も多く、重要事項説明が43件、帳簿の備付けが32件と続きました。定期報告では、苦情や修繕がなかったオーナーへの報告を省略していた例が挙げられています。
国土交通省が2026年6月5日に公表した資料によると、令和7年度に全国168社の賃貸住宅管理業者とサブリース業者に立入検査を行い、法令違反が認められた118社に是正指導を行いました。令和7年度末時点の賃貸住宅管理業者の登録数は10,197社です(国土交通省「【詳細版】賃貸住宅管理業者等への全国立入検査結果(令和7年度)」)。
| 条項 | 指導件数(括弧内は令和6年度) | 資料に挙げられた主な内容 |
|---|---|---|
| 法14条 締結時の書面 | 62(60) | 定期報告に関する事項、入居者への管理業務の実施方法の周知に関する事項、登録年月日・登録番号の記載不備など |
| 法13条 重要事項説明 | 43(35) | 登録年月日・登録番号、入居者への周知に関する事項の記載不備、重要事項説明の未実施など |
| 法18条 帳簿 | 32(41) | 契約年月日の未記載、法定帳簿の作成・整理方法の不備など |
| 法17条 従業者証明書 | 22(42) | 証明書の未作成、不携帯 |
| 法20条 定期報告 | 17(20) | 報告事項(苦情・修繕等)のないオーナーへの報告の省略、定期報告の未実施など |
| 法19条 標識 | 15(22) | 標識の未作成、登録年月日の誤記など |
| 法16条 分別管理 | 7(7) | 家賃等を管理する口座と固有財産の口座を明確に区分していないなど |
指導の多い項目に共通するのは、書面の「型」が古いまま、あるいは記入項目が欠けたまま使われていることです。登録年月日や登録番号、定期報告の方法といった項目は、書面の様式を一度直せば、以後の契約で漏れなくなります。帳簿の契約年月日の未記載は、契約書と帳簿が別々に管理され、転記が抜けたときに起きます。
定期報告の内容と、収支報告の作成負担の減らし方は賃貸管理会社のオーナー収支報告を自動化する方法で詳しく取り上げています。この記事では、報告を含めた記録全体を、どの単位で揃えるかに絞って整理します。
紙・Excel・会計ソフトに分かれていると、どこで困るのか?
契約書・重要事項説明書・帳簿・家賃の入出金・苦情の記録がそれぞれ別の場所にあり、「この委託者の契約」に関する記録を1か所から出せないことです。転記のたびに抜けが生まれ、検査や更新の前に集め直しが発生します。
よくある管理の形は次のようなものです。管理受託契約書と重要事項説明書の控えは、オーナーごとの紙ファイルに綴じている。法定帳簿はExcelで作り、契約を結んだときに事務担当が転記している。家賃・敷金の預り金は会計ソフトの預り金口座で管理し、オーナーごとの残高は月末に集計している。入居者からの苦情と修繕の手配は、入居者対応の担当がメモやチャットに残している。
この運用で困るのは、次のような場面です。
- 帳簿と契約書がずれる: 契約を更新・変更したとき、契約書は差し替えても、帳簿の報酬額や特約の欄が古いまま残る。契約年月日の転記漏れは、立入検査で指導の多い項目そのものです
- 書面の様式が更新されない: 登録番号や定期報告の方法の記載欄がない古い様式を、営業担当がそのまま使い続けてしまう
- 報告を省略してしまう: 苦情も修繕もなかったオーナーには報告書を出さない、という判断が担当者ごとに行われる。報告事項がない期間も、管理業務の実施状況の報告は必要です
- 預り金がどの契約のものか追えない: 口座は分けていても、どの管理受託契約に基づく金銭かが帳簿で直ちに判別できないと、規則36条の分別管理の要件を満たせません
家賃の入金確認と督促の記録は賃貸管理会社の家賃滞納・督促対応、契約更新の期日管理は賃貸借契約の更新通知の期日管理で扱っています。
法令対応の記録を、どの順番で整えるか?
まず書面の様式を最新にそろえ、次に委託者と管理受託契約を分けた台帳を作り、帳簿の6項目を契約データから出せるようにします。定期報告の期限は契約日から計算して一覧にします。
- 書面の様式を点検する(1〜2週間): 重要事項説明書と締結時の書面を、国土交通省の記載例や標準管理受託契約書と照らし合わせ、登録年月日・登録番号、定期報告に関する事項、入居者への周知に関する事項の欄があるかを確認します。
- 委託者マスタと契約台帳を分ける(2〜3週間): オーナー(委託者)ごとのマスタと、管理受託契約ごとの台帳を作ります。1人のオーナーが複数の物件を委託している場合でも、契約ごとに1件として扱います。
- 帳簿の項目を契約台帳に持たせる(1〜2週間): 規則38条の6項目(委託者名、契約年月日、対象の賃貸住宅、受託した管理業務の内容、報酬の額、特約その他)を契約台帳の項目にし、帳簿は台帳から出力する形にします。規則38条2項により、必要に応じて紙面に表示できれば電磁的記録で帳簿に代えられます。
- 定期報告と更新の期限を一覧にする(1週間): 契約ごとに、契約日から1年を超えない報告期限と、契約期間の満了日を一覧にします。会社の登録の有効期間満了日と、更新申請の受付期間(90日前〜30日前)もここに入れます。
- 新規契約から試行する(1〜2か月): 新しく結ぶ管理受託契約から台帳に登録し、重要事項説明から締結時の書面、帳簿への記載までが1つの流れで回るかを確かめます。既存の契約は、次の更新や定期報告のタイミングで順に移します。
既製の賃貸管理システムで足りるのは、どこまでか?
賃貸管理システムは入居者・物件・家賃の管理を広く扱いますが、委託者ごとの契約の書面履歴、業務管理者の配置、定期報告の交付記録までを1つの流れで持てるかは製品ごとに異なります。
| 方式 | 費用の考え方 | 向いている範囲 |
|---|---|---|
| 賃貸管理システム(パッケージ) | 月額課金が中心(管理戸数に応じた料金体系が多い) | 物件・入居者・家賃の入出金・送金。帳簿の様式や定期報告の扱いは製品による |
| 電子契約サービス | 送信件数や月額の課金が中心 | 重要事項説明書・契約書の電子交付と保管。帳簿や報告とのつながりは別途 |
| Excel台帳+紙ファイル | 低コスト | 契約数が少ないうちは回る。転記と様式の更新は手作業 |
| カスタム開発 | 初期298万円〜(よりどころべーすの場合) | 委託者・契約・書面・帳簿・定期報告・業務管理者を1つの基盤に束ねる |
家賃の入出金とオーナーへの送金が業務の中心で、契約数も多くないなら、賃貸管理システムと電子契約の組み合わせで足ります。判断の分かれ目は、契約ごとの書面の履歴、帳簿、定期報告の交付記録を、入居者対応や修繕の記録と同じ場所で扱い、検査や更新の前に集め直さずに済ませたいかどうかです。
カスタム開発の場合、ライトプランが初期298万円〜、フルプランが450万円、プレミアムプランが750万円(いずれも税別)、保守は月額10万円〜です。最短1.5ヶ月で公開できますが、既存契約の書面の棚卸しや様式の見直しにかかる期間は、管理受託契約の件数で変わります。
導入でつまずきやすいのはどこか?
台帳だけ作って、書面の様式と帳簿の出力が台帳とつながっていないことです。契約の変更を台帳に戻す手順がないと、数か月で帳簿と契約書がずれ始めます。
- 契約の変更が台帳に戻らない: 報酬の改定や管理対象の物件の追加を、契約書の差し替えだけで済ませ、台帳を直さない。変更の手続きを台帳の更新から始める順番にしておく必要があります
- 報告の要否を担当者が判断する: 「今期は何もなかったので報告なし」という判断を担当者に任せると、報告の省略が起きます。報告期限が来た契約は、報告書を作成して交付するまでを1つのタスクにします
- 業務管理者の異動を反映しない: 業務管理者が異動・退職したとき、営業所の選任状況を確認する流れがないと、気づかないまま契約を結んでしまいます
- 従業者証明書と標識を忘れる: 指導件数は減っていますが、令和7年度も従業者証明書で22件、標識で15件の指導がありました。入社・異動と登録内容の変更のたびに確認する項目に入れておきます
私たちなら管理会社の法令対応の記録をこう設計する
ここからは、賃貸管理会社から賃貸住宅管理業法の記録の仕組みづくりを任されたとして、私たちならどう組み立てるかを具体的に書きます。項目名や画面は、貴社の管理戸数、営業所の数、サブリースの有無を見て決めることになります。
データ設計: 委託者マスタ×管理受託契約×物件を「契約番号」で束ねる
土台は「委託者マスタ」「管理受託契約」「物件・住戸」の3つです。委託者マスタには、オーナーの氏名・名称、連絡先、電磁的方法での交付・報告への承諾の有無と承諾日を持たせます。管理受託契約は契約番号を1件とし、契約年月日、契約期間、対象の物件、受託した管理業務の内容(維持保全のみか、家賃等の管理を含むか)、報酬の額、特約、担当の営業所と業務管理者を持たせます。ここまでで規則38条の帳簿の6項目がそろうので、帳簿は契約データを事業年度ごとに出力して作ります。重要事項説明・締結時の書面・定期報告は、それぞれ交付日・交付方法・説明者・使った様式の版を契約番号にひもづけて残し、事業年度末に帳簿を閉鎖したら、そこから5年の保存期限を自動で計算します。
情報の流れ: 営業が契約を起こし、業務管理者が確認し、管理部が報告を回す
管理受託の営業担当が契約番号を起票し、重要事項説明書を最新の様式で作成して説明日と説明者を登録します。契約を結んだら締結時の書面の交付日を入れ、業務管理者が帳簿の項目に漏れがないかを確認して確定します。家賃・敷金の入出金は会計ソフトの預り金口座の明細に契約番号を付けて取り込み、どの契約の金銭かを帳簿で判別できるようにします。管理部は、入居者対応の苦情記録と修繕の手配記録を物件から契約にひもづけておき、報告期限が来た契約から順に管理業務報告書の下書きを作り、交付と説明の記録を残します。
AIの回答設計: 検査や更新の前に、記録の抜けを会話で探せるようにする
契約台帳と書面の交付記録を社内AIチャットの参照先にしておくと、業務管理者が台帳を1件ずつ開かずに確認できます。たとえば業務管理者が「この1年に結んだ管理受託契約で、締結時の書面が旧様式のままのものはありますか」と尋ねたとします。AIは書面の交付記録を検索し、「2025年11月以降に結んだ管理受託契約は14件で、そのうち2件(契約番号K-2025-118、K-2026-007)は登録番号の記載欄がない2024年版の様式で交付されています。交付記録と様式の版を添付します」と、根拠のデータつきで返します。
もう1つの使い方が、定期報告の確認です。管理部の担当が「今月が報告期限なのに、まだ管理業務報告書を交付していない契約を出して」と聞けば、契約日から計算した期限と交付記録を突き合わせ、未交付の契約を担当者と物件名つきで一覧にします。苦情も修繕もなかった契約も一覧から外しません。書面の記載が法令に合っているか、報告の内容が十分かの判断はAIに任せず、業務管理者が記録をもとに判断します。
権限・運用ルール: 帳簿の確定は業務管理者が行う
帳簿の項目と書面の交付記録は、検査で確認される記録です。入力は営業・管理部、帳簿の確定と修正の承認は営業所の業務管理者に限り、誰がいつ何を理由に直したかを履歴で残します。書面の様式は版で管理し、新しい版を登録したら、旧版での新規作成はできないようにします。委託者の口座情報や入居者の苦情の内容は、閲覧できる担当を絞ります。
定着の仕掛け: 期限と抜けを、営業所ごとの一覧で見せる
定期報告の期限、契約期間の満了、会社の登録の更新申請の受付期間、業務管理者の配置状況を、営業所ごとの一覧に並べます。帳簿の項目が欠けた契約や旧様式で交付した契約は、その一覧の上に出し、業務管理者が週に一度見る運用にすれば、検査の前にまとめて点検する作業を減らせます。
よりどころべーすの不動産管理向けダッシュボードのデモ画面(サンプルデータ)。管理物件・入居率・今月修繕依頼のKPIカード、月次推移のグラフ、修繕業者手配や更新通知送付などの担当者別の直近タスクが並び、左のメニューに入居者管理・修繕メンテナンス管理・家賃滞納管理がある。
上の画面は、よりどころべーすの不動産管理向けダッシュボードのデモ画面(サンプルデータ)です。管理物件・入居率・今月修繕依頼のKPIカードと、修繕業者手配や更新通知送付といった担当者別のタスクが並び、メニューには入居者管理・修繕メンテナンス管理・家賃滞納管理があります。写っている数値や担当者名はサンプルで、管理受託契約の台帳や法定帳簿の画面はこのデモには含まれていません。実際の構築では、この「物件×入居者×タスク」の骨格の上に、上で書いた委託者・管理受託契約・書面の交付記録を載せて作り込みます。
賃貸管理システムと電子契約サービスを別々に入れた場合、契約ごとの書面の版、帳簿の項目、定期報告の交付記録、苦情・修繕の記録を1つの契約に束ねる作業は、2つのサービスの間に手作業で残りがちです。よりどころべーすは不動産管理向けのパッケージを出発点に、その会社に足りない部分だけをスクラッチで作り足すため、入居者管理・修繕メンテナンス管理と同じ基盤に管理受託契約と帳簿を載せ、貴社の書面の様式や営業所の体制に合わせて作り込めます。仕様づくりでは、エンジニアが業務管理者や管理部の担当者と直接話し、「契約を結んでから帳簿に載るまでに、誰が何を転記しているか」を確かめます。管理受託契約の件数や営業所の数によって、様式の見直しから始めるか台帳づくりから始めるかが変わるので、上の設計を叩き台に順番を決めていきます。
まずは直近に結んだ管理受託契約を1件選び、重要事項説明書・締結時の書面・帳簿の該当行・直近の管理業務報告書がそれぞれどこにあるかを確かめてみてください。帳簿の契約年月日や報酬額が契約書と一致しているかも、あわせて見ておくと抜けが分かります。法令対応の記録づくりについてはお問い合わせフォームからご相談いただけます。
まとめ|契約1件ごとに記録を示せる状態へ
令和7年度の立入検査でも、契約の書面・重要事項説明・帳簿の記載不備が指導の上位を占めました。この記事で整理したのは次の3点です。
- 登録を受けた管理会社は、重要事項説明・締結時の書面・業務管理者・分別管理・帳簿・定期報告を、法と施行規則の定める項目と期間で残す。帳簿は事業年度末に閉鎖して5年保存、定期報告は契約日から1年を超えない期間ごと
- 指導の多い項目は、書面の様式の欠け、契約書から帳簿への転記漏れ、報告事項がないオーナーへの報告の省略で起きている
- 委託者と管理受託契約を分けた台帳に帳簿の6項目を持たせ、書面の交付記録と報告期限を契約番号にひもづけると、帳簿は契約データから出力できる
不動産管理向けの業務システムの全体像は、不動産管理向けAI業務システムの詳細で紹介しています。
よくある質問
Q. 管理戸数が200戸未満でも、賃貸住宅管理業法は関係ありますか?
A. 登録が義務付けられるのは管理戸数200戸以上の場合です(法3条1項、施行規則3条)。200戸未満でも任意に登録を受けることができ、登録を受けた場合は賃貸住宅管理業者として、重要事項説明・帳簿・定期報告などの業務に関する規定が適用されます。
Q. 法定の帳簿は、Excelや業務システムのデータで代えられますか?
A. 施行規則38条2項により、帳簿の記載事項が電子計算機のファイルなどに記録され、必要に応じて営業所で紙面に表示できるときは、その記録をもって帳簿への記載に代えることができます。事業年度末に閉鎖し、閉鎖後5年間保存します。
Q. 苦情も修繕もなかったオーナーにも、定期報告は必要ですか?
A. 必要です。施行規則40条は、報告の対象期間・管理業務の実施状況・苦情の発生状況と対応状況を記載した管理業務報告書を、契約日から1年を超えない期間ごとに交付して説明することを求めています。国土交通省の令和7年度立入検査では、報告事項のないオーナーへの報告の省略が指導事例として挙げられています。
Q. 賃貸住宅管理業の登録の更新は、いつ申請すればよいですか?
A. 登録の有効期間は5年で(法3条2項)、更新の申請は有効期間の満了日の90日前から30日前までの間に行います(施行規則4条)。期間が過ぎると登録は効力を失うため、満了日を台帳に入れて管理しておくと安全です。
Q. 家賃の預り金は、オーナーごとに別口座にする必要がありますか?
A. 施行規則36条は、家賃等を管理する口座を自己の固有財産の口座と明確に区分し、どの管理受託契約に基づく金銭かを帳簿で直ちに判別できる状態で管理することを求めています。オーナーごとに口座を分けることまでは定めていませんが、帳簿で契約ごとに判別できることが前提です。
