決算が締まって数か月たったころ、工事部から完成工事の一覧をもらい、経理の数字と突き合わせて工事経歴書を作る。経審の時期になると、同じ作業をもう一度、今度は税抜の金額で確かめ直す。建設業の総務・経理の担当者にとって、毎年くり返されるこの作業は、工事台帳と決算書が別々に管理されていることから生まれています。

建設業許可を受けた会社は、毎事業年度が終わるたびに、工事経歴書や財務諸表などを許可行政庁に届け出ます(いわゆる決算変更届)。公共工事を元請として受注する会社は、その決算をもとに経営事項審査(経審)も毎年受けます。どちらも中身は「その年にどの工事をいくらで完成させたか」なので、工事台帳の側で数字が揃っていれば、届出のたびに集め直す必要はなくなります。

先に、要点をまとめます。

  • 建設業許可を受けた会社は、毎事業年度経過後4か月以内に、工事経歴書・直前3年の工事施工金額・財務諸表などを提出する(建設業法11条2項、施行規則10条)。許可そのものは5年ごとの更新で、更新申請は満了日の30日前まで(法3条3項、規則5条)
  • 公共工事を受注するには、契約日の1年7か月前の日の直後の決算日以降を審査基準日とする経審を受けている必要がある(規則18条の2)。決算のたびに受審しないと有効期間が途切れる
  • 工事台帳の1件ごとに、許可業種・元請/下請・請負代金・完成日・配置技術者を持たせておくと、工事経歴書と経審の工事の数字を台帳から出せる

この記事は、建設業許可を受けている元請・下請の会社で、許可の届出や経審の準備を担っている総務・経理の担当者と経営者に向けて、何をいつまでに出し、元になる記録をどこで揃えるかを整理します。個別の届出書類や記載方法は許可行政庁の手引きで異なるため、提出前に必ず管轄の手引きで確認してください(確認日: 2026年10月13日)。

建設業許可を受けた会社は、毎年なにを届け出るのか?

毎事業年度が終わってから4か月以内に、工事経歴書・直前3年の各事業年度の工事施工金額・財務諸表などを許可行政庁に提出します。これとは別に、商号や役員などが変わったときの変更届、5年ごとの許可の更新があります。

建設業法11条2項は、許可を受けた建設業者に対し、毎事業年度終了時の工事経歴書(6条1項1号)と直前3年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面(同2号)、その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後4月以内に提出するよう定めています。省令で定める書類は、法人なら貸借対照表・損益計算書などの財務諸表、大臣許可なら法人税、知事許可なら事業税の納付を証する書面などです(施行規則10条1項)。実務では「決算変更届」「事業年度終了届」などと呼ばれています(建設業法 e-Gov法令検索、建設業法施行規則 e-Gov法令検索)。

決算のたびの届出のほかにも、期限のある届出がいくつかあります。

届出・申請期限根拠
決算変更届(工事経歴書・工事施工金額・財務諸表など)毎事業年度経過後4か月以内法11条2項、規則10条
使用人数などの記載事項の変更毎事業年度経過後4か月以内法11条3項
商号・営業所・資本金・役員等などの変更変更から30日以内法11条1項
営業所技術者が交代したときの証明書面2週間以内法11条4項
許可の更新申請有効期間満了日の30日前まで法3条3項、規則5条

営業所技術者は、2024年12月13日施行の改正で「専任技術者」から呼び名が変わったものです。要件は変わっていません(栃木県「専任技術者から営業所技術者への名称変更」)。社内の台帳や様式に旧称が残っていても届出の効力に影響はありませんが、新しく台帳を作るなら現行の呼び名に合わせておくと、手引きと照らし合わせやすくなります。

許可の更新を逃すと、許可は期間の経過で効力を失います。失効前に結んだ請負契約の工事は完成させることができますが、その場合も失効から2週間以内に注文者へ通知する必要があります(法29条の3)。更新申請では工事経歴書などの添付は求められていませんが(法6条2項)、静岡県の更新申請マニュアルは、直近の決算期までの決算変更届が提出されていない場合は更新申請を受理しないと明記しています(静岡県「建設業許可申請【更新】簡易マニュアル」令和8年2月)。神奈川県も、決算変更届を提出しない建設業者は罰金刑等の対象となる場合があり(法50条)、経審を受けられず公共工事に参加できなくなると案内しています(神奈川県「許可後の手続き」)。毎年の決算変更届は、5年に一度の更新を通すための前提でもあります。

建設業許可を受けた会社の1年の届出カレンダー。決算日の後、4か月以内に決算変更届を提出し、経営状況分析と経営規模等評価を経て経審の結果通知を受け、審査基準日から1年7か月の有効期間内に次の経審を受ける流れと、5年ごとの許可更新を示す。建設業許可を受けた会社の1年の届出カレンダー。決算日の後、4か月以内に決算変更届を提出し、経営状況分析と経営規模等評価を経て経審の結果通知を受け、審査基準日から1年7か月の有効期間内に次の経審を受ける流れと、5年ごとの許可更新を示す。

経営事項審査(経審)は、決算変更届とどうつながるのか?

経審は、決算日を審査基準日として、その決算の財務諸表と完成工事高をもとに評価を受ける手続きです。決算変更届と同じ決算・同じ工事経歴書の数字を使うため、どちらか一方だけ数字を直すと食い違いが生まれます。

公共工事を発注者から直接請け負う建設業者は、経営事項審査を受けていなければなりません(法27条の23)。施行規則18条の2は、発注者と請負契約を締結する日の1年7か月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経審を受けていることを求めています。長野県の案内では、結果通知書は審査基準日の1年7か月後の日まで公共工事の受注について有効と説明されています(長野県「経営事項審査について」)。決算のたびに経審を受けておかないと、有効期間が途切れて入札に参加できない期間ができます。

経審は2つの審査の組み合わせです。登録経営状況分析機関が行う経営状況分析と、許可行政庁が行う経営規模等評価(経営規模・技術力・社会性等)の結果から、総合評定値が算定されます。大分県の手引きでは、工事経歴書は許可後も毎事業年度終了後4か月以内に財務諸表とあわせて提出するものであり、経審の申請を兼ねて作成する場合、消費税の課税事業者は税抜、免税事業者は税込で作成すると説明しています(大分県「経営事項審査申請の手引(大分県知事許可業者用)」令和8年2月)。

工事経歴書の書き方にも決まりがあります。同じ手引きでは、まず元請工事の完成工事を、元請の完成工事高合計の7割を超えるところまで記入し、続けて残りの元請工事と下請工事を、全体の完成工事高合計の7割を超えるところまで記入する、という順序を示しています。どの工事をどの順で載せるかを決めるには、許可業種ごとに、元請か下請か、請負代金はいくらかで工事を並べ替える必要があります。工事台帳にこの区分がなければ、毎年手作業で仕分けることになります。

工事台帳と決算書が別々だと、どこで困るのか?

工事経歴書の元になる「業種・元請下請・金額・完成日」が工事台帳にそろっておらず、届出のたびに工事部と経理で一覧を作り直すことになります。担当者が交代すると、前年に何を基準に業種を振り分けたかも分からなくなります。

よくある管理の形は次のようなものです。工事の受注は工事部がExcelの工事台帳で管理し、請負代金の入金と原価は経理が会計ソフトで処理している。決算が締まったら、総務が工事部から完成工事の一覧をもらい、会計ソフトの完成工事高と突き合わせて工事経歴書を作る。経審の時期には、行政書士に資料一式を渡して確認してもらう。

この運用で困るのは、次のような場面です。

  • 業種の振り分けが毎年ぶれる: 内装と建築一式のどちらで計上するか、とび・土工と舗装をどう分けるかを、その年の担当者が判断している。前年と同じ基準で振り分けたかを確かめる手段がない
  • 完成工事高が会計と合わない: 工事台帳の請負代金は契約時の金額のまま、会計は追加・変更を反映した完成工事高、という食い違いが毎年起きる。どの工事の差なのかを探すのに時間がかかる
  • 配置技術者が工事とつながっていない: 工事経歴書には工事ごとの配置技術者の記載欄がある。技術者の資格台帳と工事台帳が別だと、誰をどの工事に置いたかを現場ごとに聞いて回ることになる
  • 期限が担当者の記憶頼み: 決算変更届の4か月、経審の有効期間、5年ごとの許可更新、役員変更の30日といった期限が、カレンダーや付箋で管理されている

工事ごとの原価の管理は建設業の原価管理をリアルタイム化する方法で、技術者の資格台帳は建設業のCCUS対応と技能者・資格管理の一元化で取り上げています。

届出の元になる記録を、どの順番で整えるか?

届出書類の様式から考えるより先に、工事台帳の1件ごとに「許可業種・元請/下請・請負代金(変更後)・完成日・配置技術者」を持たせることから始めます。台帳が揃えば、工事経歴書は台帳の並べ替えで作れるようになります。

  • 前年の工事経歴書を読み解く(1〜2週間): 直近の決算変更届と経審の工事経歴書を並べ、どの工事をどの業種で計上したか、元請・下請の区分、税抜/税込の扱いを書き出します。振り分けの基準が文書になっていなければ、ここで決めます。
  • 工事台帳の項目を決める(2〜3週間): 工事番号を1件とし、注文者、工事名、工事場所、許可業種、元請/下請、契約日、当初請負代金、変更後の請負代金、着工日・完成日、配置技術者(主任技術者・監理技術者)を項目にします。追加・変更契約は工事番号にひもづけて履歴で残します。
  • 会計ソフトと工事番号を合わせる(1〜2週間): 会計ソフトの補助科目や部門に工事番号を入れ、完成工事高を工事単位で突き合わせられるようにします。
  • 期限の一覧を作る(1週間): 決算日、決算変更届の期限、経審の審査基準日と有効期限、許可の有効期間満了日、更新申請の期限を、許可業種ごとに一覧にします。
  • 1期分を試す(決算1回分): 次の決算で、台帳から工事経歴書の下書きを出し、従来の作り方と数字が合うかを確かめます。合わない工事があれば、その原因を台帳の項目に戻して直します。

決算変更届の作成を行政書士に依頼している会社でも、工事の一覧と金額を社内で揃えて渡せると、確認のやり取りが減ります。許認可の期限を受託側の事務所でどう管理しているかは士業事務所の期限管理の仕組み化で紹介しています。

既製のソフトで揃う範囲と、揃わない範囲はどこか?

経審の申請書作成ソフトは届出様式の作成を、工事管理・原価管理のソフトは工事と原価の管理を担います。工事ごとの業種の振り分け、変更後の請負代金、配置技術者を1つの台帳で持ち、届出の数字までつなぐ部分は、組み合わせの間で手作業が残りやすいところです。

方式費用の考え方向いている範囲
経審・許可申請の書類作成ソフト買い切りや年額課金が中心決算変更届・経審の様式作成。元になる工事の一覧は別途用意する
建設業向けの工事管理・原価管理ソフト月額課金が中心工事ごとの原価・工程・請求の管理。許可業種の振り分けや配置技術者の持ち方は製品ごとに異なる
行政書士への作成依頼手続きごとの報酬届出・申請の作成と提出。工事の一覧と金額は社内で用意する
カスタム開発初期298万円〜(よりどころべーすの場合)工事台帳・技術者台帳・期限管理を1つの基盤に束ね、届出用の一覧を出す

工事の件数が少なく、毎年の工事経歴書づくりが数日で終わっているなら、Excelの台帳と書類作成ソフトの組み合わせで足ります。判断の分かれ目は、工事台帳・原価・技術者の配置を日常の工事管理と同じ場所で扱い、届出のときに集め直さずに済ませたいかどうかです。

カスタム開発の場合、ライトプランが初期298万円〜、フルプランが450万円、プレミアムプランが750万円(いずれも税別)、保守は月額10万円〜です。最短1.5ヶ月で公開できますが、業種の振り分け基準の文書化や過去の工事データの整理にかかる期間は、会社ごとの工事件数で変わります。

導入でつまずきやすいのはどこか?

台帳の項目を増やしても、工事部が入力するタイミングが決まっていないと、決算の後にまとめて入力することになり、元の手作業に戻ります。

  • 完成日と変更後の金額が入らない: 受注時の入力だけで止まり、追加・変更契約や完成日が台帳に戻ってこない。完成工事の一覧が台帳から出せない
  • 業種の振り分けを入力者任せにする: 振り分けの基準を決めずに入力欄だけ用意すると、担当者ごとに業種がぶれます。迷いやすい工事の例を基準として残しておく必要があります
  • 会計の数字と照合する手順がない: 台帳と会計ソフトの完成工事高を照合するタイミングが決まっていないと、決算の後に差額の原因探しが残ります
  • 期限の通知先が1人だけ: 期限の通知を総務の担当者1人に送る設定だと、異動や休職で通知が止まります

私たちなら建設会社の許可・経審の記録をこう設計する

ここからは、建設会社から許可の届出と経審の準備を楽にする仕組みづくりを任されたとして、私たちならどう組み立てるかを具体的に書きます。項目名や画面は、貴社の許可業種、元請・下請の比率、公共工事の受注状況を見て決めることになります。

データ設計: 工事台帳×技術者台帳×許可マスタを「工事番号」で束ねる

土台は「工事台帳」「技術者台帳」「許可マスタ」の3つです。工事台帳は工事番号を1件とし、注文者、工事名、工事場所、許可業種、元請/下請、契約日、当初請負代金、変更契約の履歴と変更後の請負代金、完成日、配置した主任技術者・監理技術者を持たせます。技術者台帳には、資格の種類と取得日、実務経験、営業所技術者として届け出ている営業所を持たせます。許可マスタには、許可番号、許可業種ごとの一般/特定の区分、有効期間満了日、決算日、直近の経審の審査基準日を持たせます。決算日を区切りに、工事台帳から「許可業種別・元請下請別・請負代金順」の完成工事一覧を自動で作り、工事経歴書の下書きと直前3年の工事施工金額の集計に使います。

情報の流れ: 工事部が入力し、経理が金額を照合し、総務が届出をまとめる

受注した時点で工事担当者が工事番号を起票し、許可業種と元請/下請、配置技術者を選びます。業種の選択肢には、過去に迷った工事の振り分け例を添えて表示します。追加・変更契約があれば工事担当者が変更履歴を登録し、完成したら完成日を入れます。経理は月次で、会計ソフトの完成工事高と台帳の変更後の請負代金を工事番号で照合し、差がある工事に印をつけます。決算が締まったら総務が完成工事一覧を出力し、税抜/税込の別を確認して、決算変更届と経審の資料にまとめます。行政書士に作成を依頼している場合は、この一覧をそのまま渡します。

AIの回答設計: 期限と工事の数字を、会話で確認できるようにする

工事台帳と許可マスタを社内AIチャットの参照先にしておくと、総務の担当者が複数の台帳を開かずに済みます。たとえば担当者が「今期の決算変更届と経審の期限はいつですか」と尋ねたとします。AIは許可マスタを参照し、「決算日は2026年9月30日なので、決算変更届の提出期限は2027年1月末です。現在の経審の審査基準日は2025年9月30日で、有効期限は2027年4月30日です。次の経審をそれまでに受けておく必要があります」と、根拠にした決算日と審査基準日を添えて返します。

もう1つの使い方が、工事経歴書の下書きの確認です。経理担当が「今期の完成工事で、台帳の請負代金と会計の完成工事高が合っていない工事を出して」と聞けば、照合で印がついた工事を、差額と最後に変更契約を登録した日つきで一覧にします。どの業種で計上するか、どの工事を工事経歴書に載せるかの最終判断はAIに任せず、総務と経理、依頼先の行政書士が台帳の記録をもとに決めます。

権限・運用ルール: 業種の振り分けを直せる人を決めておく

許可業種の振り分けと変更後の請負代金は、届出の数字を左右します。入力は工事担当者、振り分けの変更は工事部長と総務の承認制にし、誰がいつ何を理由に変えたかを履歴で残します。決算変更届を提出したら、その時点の完成工事一覧を版として固定し、提出後に台帳を直した場合も、提出した版と見比べられるようにします。帳簿や添付書類の保存期間(建設業法40条の3、施行規則28条)との関係は、下請取引の記録の扱いとあわせて決めておきます。下請との契約記録の残し方は建設業の下請見積・注文書の管理で解説しています。

定着の仕掛け: 期限の通知は役割に送る

決算変更届の期限、経審の有効期限、許可の更新申請の期限、役員変更の30日などは、担当者個人ではなく「総務」「経理」という役割に通知します。期限の60日前・30日前に、未完了の準備作業(完成日が未入力の工事、照合で差が残っている工事)を添えて通知すれば、期限の直前に入力漏れに気づく事態を減らせます。

よりどころべーすの建設業向けダッシュボードのデモ画面(サンプルデータ)。進行案件・今月完工・安全点検未実施のKPIカード、月次推移のグラフ、工程表更新や見積書作成などの担当者別の直近タスクが並び、左のメニューに工程管理・現場安全点検・見積請求管理がある。よりどころべーすの建設業向けダッシュボードのデモ画面(サンプルデータ)。進行案件・今月完工・安全点検未実施のKPIカード、月次推移のグラフ、工程表更新や見積書作成などの担当者別の直近タスクが並び、左のメニューに工程管理・現場安全点検・見積請求管理がある。

上の画面は、よりどころべーすの建設業向けダッシュボードのデモ画面(サンプルデータ)です。進行案件・今月完工・安全点検未実施のKPIカードと、工程表更新や見積書作成といった担当者別のタスクが並び、メニューには工程管理と見積請求管理があります。写っている数値や担当者名はサンプルで、許可マスタや工事経歴書の下書きの画面はこのデモには含まれていません。実際の構築では、この「工事×タスク×担当者」の骨格の上に、上で書いた許可業種・配置技術者・変更後の請負代金を載せて作り込みます。

書類作成ソフトと工事管理ソフトを別々に入れた場合、工事ごとの業種の振り分けや変更後の金額、配置技術者を届出の一覧までつなぐ作業は、2つのソフトの間に手作業で残りがちです。よりどころべーすは建設業向けのパッケージを基盤にし、足りない台帳や画面だけをスクラッチで追加する作り方なので、工程管理・見積請求管理と同じ基盤に工事台帳と許可マスタを載せ、貴社の業種の振り分け基準や届出の段取りに合わせて作り込めます。要件を固める段階では、開発を担うエンジニア自身が総務・経理の担当者や工事部長に「決算のあと、工事経歴書を作るときに何と何を突き合わせているか」を聞き取ります。ここに書いた項目は叩き台です。工事件数や公共工事の比率によって、先に手を付けるのが工事台帳か期限の一覧かが変わるため、その順番から一緒に決めます。

まずは前期の工事経歴書を1枚取り出し、載っている工事のうち3件について、業種・元請下請・請負代金・配置技術者が社内のどの台帳から来た数字かをたどってみてください。たどれない項目があれば、その項目から工事台帳に持たせていきます。許可・経審の記録づくりについてはお問い合わせフォームからご相談いただけます。

まとめ|工事台帳から届出の数字を出せる状態へ

建設業許可を受けた会社は、毎年の決算変更届と、公共工事を受注するなら毎年の経審を、同じ決算・同じ工事の数字で出していきます。この記事で整理したのは次の3点です。

  • 決算変更届は毎事業年度経過後4か月以内(法11条2項)、許可の更新申請は満了日の30日前まで(規則5条)、役員等の変更は30日以内、営業所技術者の交代は2週間以内に届け出る
  • 経審は契約日の1年7か月前の日の直後の決算日以降を審査基準日とするものが必要で(規則18条の2)、決算変更届と同じ工事経歴書・財務諸表の数字を使う
  • 様式づくりより先に、工事台帳の1件ごとに許可業種・元請下請・変更後の請負代金・完成日・配置技術者を持たせ、決算ごとに一覧を版として残す

建設業向けの業務システムの全体像は、建設業向けAI業務システムの詳細で紹介しています。

よくある質問

Q. 決算変更届は、いつまでに提出すればよいですか?

A. 建設業法11条2項により、毎事業年度経過後4か月以内です。たとえば3月末決算の会社なら7月末が期限になります。提出書類の部数や様式は許可行政庁の手引きで確認してください。

Q. 決算変更届を出していないと、許可の更新に影響しますか?

A. 影響します。静岡県の更新申請マニュアルは、直近の決算期までの決算変更届が提出されていない場合、更新申請を受理しないと明記しています(決算後4か月を超えていない直近の期を除く)。管轄の手引きで扱いを確認し、決算ごとに期限内に出しておくことが、5年ごとの更新を通す前提になります。

Q. 経審の有効期間はどのくらいですか?

A. 施行規則18条の2は、契約日の1年7か月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経審を受けていることを求めています。長野県の案内では、結果通知書は審査基準日の1年7か月後の日まで有効と説明されています。決算のたびに受審しないと、有効期間が途切れる期間ができます。

Q. 工事経歴書の金額は税抜と税込のどちらで書きますか?

A. 大分県の経審の手引き(令和8年2月)では、経審の申請を兼ねて作成する場合、消費税の課税事業者は税抜、免税事業者は税込で作成すると説明しています。管轄の手引きで扱いを確認してください。

Q. 専任技術者と営業所技術者は違うものですか?

A. 2024年12月13日施行の改正で、「専任技術者」は「営業所技術者等」(営業所技術者と特定営業所技術者の総称)に呼び名が変わりました。呼称の変更で、法律上求められる要件に変更はありません。交代したときは2週間以内に証明書面を提出します(法11条4項)。